憂鬱になる…
私の友人のマナミが家に訪れてきてからというもの、姑の口からは毎日のように彼女の話ばかりこぼれてくる。
「マナミさんはまた来るの?いつ来てくれるかしら?」「本当に彼女はいい人よね、話してて楽しいし、何より美人よね~」など…。
聞いていてウザいほど私に言ってくる。
そんなことを夫にも話すものだから、「俺もぜひ会ってみたいな、美人なんだろ?」なんて言う始末。
私の友達のことを変に言われるよりはマシだけど、でもふたり揃って気持ちが悪い。
終いには、「ねえ、ハナエさん。またマナミさんを家に呼んでよ。そうね、今週末あたりなんかどうかしら?」などど姑は言ってきた。
「いやお義母さん、マナミも忙しい身ですからそう簡単に来れませんよ」
そう応えると、「聞いてみないと分からないじゃない!連絡してみてよ。ほんと気が利かない人ね。私に喜んで欲しいとか思わないのかしら…」
義母を喜ばすために私の友達を呼ぶ…もはや意味が分からない。
姑本人は日頃私としかほぼ接してないから寂しいとでもいいたいのだろう。
けど、なんで私よりも友達に対して「お嫁さんになって欲しかった」なんていう人のためにそこまでしないといけないの。
この人は自分のことしか考えない、いや考えられない人なのが分かる。
それは夫も一緒で、「マナミさんが来るときは俺にも教えてくれ!仕事入れないから」などと言う。
親子揃ってどれだけ自分勝手なんだか…。
仕方が無いのでダメもとでLINEでマナミに連絡してみた。
「あのね、義母があなたのこと気に入ったらしくてまた会いたがってるの。夫もお義母さんのこと喜ばせてくれたお礼がしたいって」
するとこんな返事が返ってきた。
「全然いいわよ、次の火曜日なら予定空いてるからまた伺わせてもうらわ。私もお義母さんと、あなたの夫にも会ってみたいし」
ほんとに忙しそうな身だから断られるかと思ったけど意外だった。それも2日後に。
まぁ、これであの姑も納得してくれるだろう。
それを伝えると案の定、「ほんと?嬉しいわ~。また沢山お話できるわね。ほら、聞いてみなきゃ分からないって言ったじゃない。やっぱり気が利かないのね、あなたは!」
いや、そこでなぜ嫌味なのだろう?なんで「ありがとう」の一言がないの?
もう次からは絶対にマナミを家に呼ぶのはやめる。
嫌味や侮辱されるのなんてまっぴら。人をバカにするのもいい加減にして!
そんなことを思っていると、またLINEに連絡が来た。マナミだった。
どうやら姑と会いたいのは本当だとのこと。
さらに、実は彼女の母親はすでに亡くなっているそうで義母にその姿が重なって見えたそうだ。
しかも優しそうで話も合う。そんな姑を彼女も気になっていたらしい。
優しそう…それだけはどう考えても間違っているけど、そんなふうに言ってくるマナミを落胆させたくはなかったので、そこは言うのを避けた。
そう言われたら次から家に呼ばないなんて言えないじゃない。
そんなことをすれば逆にこっちが「鬼」と呼ばれてしまう。
この気分は何なのだろう、何だかものすごく歯痒い。
とにかく明後日はどんなことになるのか?
比較されてまた嫌味を言われるだろうと考えると頭が痛い。
ほんと憂鬱になる…。