突然の連絡…
日頃のストレスはありつつも、トラブった元不倫相手からもその後はとくに何もなく平穏な日々がおとずれている。
と思ったら知らない番号から着信が…まさか元不倫相手の店長?
無視するかどうか考えたけど、逃げても仕方がないとおもい出てみると、高校時代の女友達だった。
何年かぶりのコンタクト。
友人の名前はマナミ(仮)。
昔からよくしゃべる子でどちらかというと少し派手めな女のコだった。
クラスでよくいる「遊び」のグループに属していた子で、いつも男子と仲良く話していたのを覚えている。
どちらかと言えば地味目な私とは真反対の印象。周りから見ればお互いに性格も合わないと思われていたと思う。
でも今でも覚えている。それはある日の放課後、私が部活が終わって帰り支度をしに教室に戻った時のことだった。
ちなみに私が入っていたのは手芸部。理由は部員が少なくて、あまり人と接したくなかった私にとっては都合が良かったから…。
マナミは一人で教室にいた。窓際の席にポツン座り外を眺めていた。
それまで殆ど話をしたことがなかったので、荷物を取ってそのまま帰ろうとしたところ突然マナミに話しかけられた。
「あ、〇〇さん。部活?いま終わったの?」
話し方がなんかいつもと違った。
普段は仲間とキャッキャして話してるので正直うるさいなと思っていたけど、いつもとは違う穏やかで優しい口調に少し驚いた。
すると彼女は、一緒に帰ろうと私を誘ってきた。ここから私と彼女との付き合いが始まった。
聞くと、彼女の家と私の家は電車で一駅ほどの距離だった。
なので家に帰るまでの1時間ほど一緒にいて、マナミはずっと話していた。
ここで本題というべきか、彼女が私に話しかけてきた理由を知ることになる。
私は彼女に、恐る恐る自分に話しかけてきた理由を聞いた。
すると、どうやら私は彼女自身に似ていたらしく、前から一度話してみたかったそうだ。
これには凄く驚いた。なぜなら、さっきも書いたように彼女は派手好きで一緒にいる仲間も同じタイプだったから。
話を聞くと、どうやらこういうことだったらしい。
実はマナミは中学までは地味目で大人しかった。
それは母子家庭で母親が夜の仕事をしていたことに起因する。つまり水商売ということ。
なので昼間はいつも寝ていて、そのせいで家には友達を呼べなかったし呼ばなかった。
そんな思春期の女の子だからこそ引け目を感じていたのだろう。自ら誰かと友達になろうとはしなかったらしい。
加えて、家にはしょっちゅう違う男が出入りしていた。
彼氏が何人かいたのかどんな関係なのかは分からないけど、男たちには嫌悪感しか抱いてなかったとのこと。
そういう経緯から、彼女は母親がいる昼間はだきるだけ家に帰らず公園や街をふらつき、母親が仕事に行く頃を見計らって家に帰るようになっていた。
さらに、一人っ子だった彼女は常に寂しく過ごしていた。
でも、高校に入学してそんな自分を変えたいと思い、がんばって派手な服装をして似たような子たちとつるむようになったそうだ。
要するに、寂しさから逃げるためにそうなったのだという。
そういう状況から親近感を感じていたためか、普段から大人しく人とあまり話そうとしない私に何となく興味を持っていたらしい。
人とは外見だけでは分からないものだと初めて知った日でもあった。
そして私は、そのあとマナミから衝撃的な話を聞いた。
まさか、あんな人格を歪めかねないことがあったなんて…。